こんにちは!重富プラスです。
いつも弊社のジャーナル記事をご覧いただき、ありがとうございます。
近年、AI(人工知能)の進化が加速度的に進み、あらゆる業界に変革の波をもたらしています。印刷・デザインの分野も例外ではありません。
「AIがデザインを自動で作る」「原稿データをAIが自動でレイアウトする」――そんなニュースを耳にするたびに、「自分たちの仕事はどうなるのだろう」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、印刷会社・重富プラスの現場で日々DTPやデザインに携わる立場から、AIによるデザイン・DTPの革新がもたらす変化と、私たちがこれからどう向き合っていくべきかを考えてみたいと思います。
■ AIが変えるデザイン制作の現場
AIが「デザイン」を手がける時代――。
一昔前なら想像もしなかったことですが、いまや実際に多くのツールが登場しています。
たとえば「Canva」や「Adobe Express」といったオンラインデザインツールでは、AIが自動でレイアウトや配色を提案してくれます。文章を入力するだけで最適なデザインを生成する「生成AIデザイン」機能も続々と搭載されています。
また、DTPの分野では、InDesignやIllustratorでもAIが文字組みや画像補正を自動化する動きが進んでいます。
こうしたツールは、作業の効率化という点では非常に優秀です。大量のチラシやカタログを扱う印刷現場では、レイアウトの自動生成や原稿整理の自動化が進むことで、これまで時間を要していた工程が大幅に短縮される可能性があります。
しかし、その一方で「AIがデザインを全部やってくれるなら、人の感性は不要になるのでは?」という声も聞こえてきます。果たして本当にそうでしょうか。
■ AIデザインの「便利さ」と「限界」
AIは膨大なデータをもとに、最適なレイアウトや配色、フォントの組み合わせを導き出すことが得意です。
特にチラシやポスターなど、定型フォーマットが多い印刷物では、その能力を存分に発揮します。
しかし、AIが苦手とするのは「文脈」や「意図」を読み取ることです。
たとえば同じ「春のキャンペーンチラシ」でも、企業によって訴えたいメッセージやトーンは異なります。
どんな読者に、どんな感情を届けたいのか――。その“ニュアンス”を汲み取り、デザインに反映するのは、やはり人の感性と経験が必要です。
AIが生み出すデザインは「正解に近いもの」ではありますが、「心を動かすもの」とは限りません。
そこに「伝わるデザイン」と「ただ整ったデザイン」の違いがあるように思います。
■ DTP作業の自動化が進むことで変わる役割
印刷現場では、すでにDTPの自動化が進みつつあります。
例えばカタログ制作では、Excelのデータを自動でレイアウトに流し込むスクリプトや、InDesignの自動組版機能を使えば、数百点の商品情報も一括処理できます。
これまでは人の手で行っていた校正や修正作業も、AIが文言や数値の不一致を検出してアラートを出すようになってきました。
まさに「AIがオペレーターのアシスタントになる」時代です。
その結果、人の役割は「単純作業」から「品質の最終チェック」や「より良い表現の提案」へとシフトしています。
言い換えれば、AIが作業を担い、人が判断を担う構図です。
重富プラスの現場でも、テンプレート化できる作業は積極的に効率化を図りつつ、クライアントの意図や感情をくみ取る「最後のひと手間」にこそ、人の力を注いでいます。
■ AIを「敵」とするか、「相棒」とするか
AIの登場は、確かに一部の業務を置き換えるかもしれません。
しかし私たちデザイナーやDTP担当者が恐れるべきは、AIそのものではなく、「AIを使いこなせないこと」ではないでしょうか。
AIは道具です。
たとえば、かつて版下を手で切り貼りしていた時代に、MacとDTPソフトが登場したときも同じような議論がありました。
「職人の技がいらなくなる」「仕事がなくなる」と言われた時代です。
しかし実際には、デジタル化によってデザインの表現力は広がり、新たな仕事の形が生まれました。
AIも同じです。
使い方次第で、発想を広げ、業務を効率化し、クリエイティブの可能性を押し上げてくれる存在になり得ます。
たとえば、AIにキャッチコピー案を出してもらい、そこから自分なりの表現にブラッシュアップする。
あるいは、AIが作ったラフデザインをもとに、人が「人らしい」デザインに仕上げていく。
そんな共創の形がこれからの主流になるでしょう。
■ 印刷会社に求められる「人間らしさ」
AI時代の中で、印刷会社の価値はどこにあるのか。
それは、**「人の思いを形にする力」**にあると考えます。
たとえば、地域の商店が新しいロゴを作りたいと相談に来たとき。
単に見た目が整ったデザインではなく、「店主の思い」や「地域とのつながり」をどう表現するか――そこにこそ人の関わりが必要です。
印刷・デザインの仕事は、単なるビジュアルづくりではなく、「伝える」ための手段づくりです。
AIがいくら精密な画像を生成できても、人の感情を受け取り、人の言葉で提案できるのは人だけです。
重富プラスでは、AIを積極的に取り入れつつも、「伝える力」「寄り添う姿勢」を大切にしています。
クライアントの思いや現場の温度感を感じ取る――その“人間らしさ”こそ、これからの印刷会社の競争力になると感じています。
■ 未来への視点:AIと共に進化するデザイン現場
AIは、これからさらに進化していきます。
自動レイアウトだけでなく、紙面全体の「読みやすさ」「視線誘導」まで解析して最適化する仕組みもすでに研究されています。
また、画像生成AIが印刷物の素材を自動で作る時代もそう遠くはありません。
そうした中で私たちがすべきことは、「AIに置き換えられない価値」を磨くこと。
それは、「人と人をつなぐデザイン」「伝えるための工夫」「温度のある表現」です。
AIがデザインの“手”を担い、人がデザインの“心”を担う。
そんな関係を築いていければ、AIは決して敵ではなく、頼もしいパートナーになるでしょう。
■ おわりに
AIによるデザイン・DTPの自動化は、確かに業界の大きな転換点です。
しかし、私たち重富プラスはこの流れを「脅威」ではなく「進化のチャンス」と捉えています。
AIの力を活かしながら、より早く、より正確に、そして何より“伝わる”デザインを生み出す。
その先にこそ、人と企業と社会をつなぐ新しい印刷の形があると信じています。
「AIはデザイナーの敵か味方か?」――答えはおそらく、その両方です。
けれども私たちがAIを理解し、共に歩む覚悟を持つ限り、AIはきっと“味方”になってくれる。
これからも重富プラスは、テクノロジーと人の力で、“伝える、伝わる”デザインの未来を切り拓いていきます。
重富プラスは、お客様の想いや目的に合わせて、最適なメディアミックスをご提案します。
印刷だけでも、Webだけでもない。「どちらもできる」からこそ生まれる価値を、ぜひ体感してください。
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